Q1. 『中陰』とはどういう意味ですか? |
Answer.
中陰とは、中間的存在という意味です。中有ともいい、古くからの日本の葬送儀礼の中で定着してきた死生観です。つまり、人が死んで次の世に生まれ変わるまでの期間のことで、七日ごとをひとつの節とし、段階を経て進んでいくと考えられます。次の世に到達するためには、この七日間を七回くり返さなければならないというのです。だから四十九日とも言われ、残された人々は、ひとつの節を迎えるごとに追善の法要をつとめて、死者の冥福を祈る、という習俗として、昔から定着してきたものです。
しかし浄土真宗では、如来のお救いによって命終と同時にお浄土へ往生するという教えですから、追善・追福の供養というよりも亡き人の遺徳を偲びつつ、この中陰の法要をご縁として、より深くお念仏のみ教えを味わうように心がけます。 |
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Q2. 中陰が三ヵ月にわたると三十五日で切りあげるといいますが |
Answer.
中陰の期間、つまり四十九日が三ヵ月にわたると、四十九(始終苦)が三月(身に付く)という語呂合せの迷信から、満中陰を三十五日(五七日)で切りあげてしまうことが多いようです。例えば、その月の十五日以降に亡くなられた場合、どう数えてみても、三ヵ月にまたがるのはあたりまえの話です。このような当然のことを、どうだこうだと気にかけることの方がおかしいのではないでしょうか。浄土真宗では、とくにこのような迷信、俗信を厳しく戒めます。 |
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Q3. 中陰でのお仏壇のおかざりは? |
Answer.
すでに仏壇がある場合は、ともすれば中陰壇が中心になりがちですが、中陰といえども礼拝の対象はあくまでご本尊ですから、仏壇の扉は、いつでもお参りできるように開けておき、勤行は仏壇の前でなされるのが正式です。そして中陰を迎える仏壇は、まず、白い打敷をかけます。供花は樒か、そうでなければ派手なものはさけ、白、黄を用いるのがよいでしょう。ローソクも白にします。お仏飯は仏壇に供えます。その他、適宜供物を供えます。
また、中陰壇は四十九日をすぎたらとりはらいます。なお、遺骨は納骨するまでのあいだ、仏壇内に一時安置しておいてもかまいません。 |
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Q4. 中陰の期間中は、ローソクや線香をたやしてはいけないといわれますが |
Answer.
ローソクの灯り(灯明)は、すみずみにまでいきわたるみ仏の知恵や、慈悲の心をあらわすといいます。その知恵と慈悲をたたえて、仏前に灯明をお供えするのです。また線香は、妙なる香と清浄の心をあらわします。
ところが、灯りや線香をたやすと死者が迷うなどというおかしな迷信が、まことしやかに言われますが、これでは火災の原因となり、大変危険です。現に、そのために焼け出されたという話を、あちらこちらで耳にします。お参りするときだけで充分です。
また、中陰については、何かと根拠のない迷信や俗信が多いようです。いっさい無視して正しい仏法の教えに従うよう心がけてください。 |
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Q5. お盆のこころを教えてください。また中陰中のお盆の迎えかたは |
Answer.
お盆のことを、正しくは「盂蘭盆」といいます。古代インド語のウランバーナを漢字にあてはめたものですが、「倒懸」ともいわれ、その意味はさかさまにつるされたような苦しみ、ということです。つまり、さかさまにつるされるような、たいへんな苦しみを受けている人を救うために営まれるのが、お盆の行事(盂蘭盆会)なのです。その起りは、盂蘭盆経という経典に説かれた物語にあるといわれます。
そこには、お釈迦さまの弟子の目連尊者が、餓鬼道におちた自分の母親が、さまざまな責苦を受けていることを知り、どうかして救えないものかと、お釈迦さまの教えを聞き、仏道にはげんでいるお坊さんたちに食を施す百僧供養を行ない、その功徳によって母親が天上界に生まれることができたという話が出ているのです。これにちなんで、日本では千年以上も昔から今日まで続けられてきました。
それでは、お盆の迎え方はどうするのかということになりますが、これは地方によってさまざまです。また、宗派によっても違いがみられます。とくに、葬儀のあと、はじめて迎えるお盆のことを一般では初盆、新盆と呼びますが、浄土真宗では、お盆を歓喜会とも呼び、盂蘭盆経の故事に習って、目連尊者の孝養心をたたえ、親子ともども仏教との出会いを喜ぶ法座として意義づけられています。また、中陰のあいだにくるお盆に対しても、おしなべていえば、特別なおつとめをするということはないようです。
お仏壇に季節の果物や菓子をお供えし、供花を美しく飾り、盆の夏休みを利用して帰ってきた兄弟や親戚の人たちみんな揃ってお墓参りをするという、毎年のお盆と同じようにおつとめしていただいて結構です。また、他宗においてみられる盆ちょうちんや玄関先でオガラをたいたりする風習は、浄土真宗にはありません。 |
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Q6. 四十九日をすぎた白木の位牌はどう扱ったらいいのですか |
Answer.
法名が記された白木の位牌が、ながいあいだ、仏壇の中に安置されたままになっているのをみかけます。白木の位牌は四十九日までのものですから、決してそのままにしておかないよう、注意してください。これは、四十九日の法要がすみ次第焼却するか、ご住職に相談して処分してください。
なお、浄土真宗では塗りの位牌を用いないで、過去帳を用いるのが正式です。 |
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Q7. 百ヵ日の法要は満中陰と同じ規模でつとめますか? |
Answer.
百ヵ日とは命日から数えて百日目のことで、この日にも法要をつとめる習わしがあります。この法要は、中陰法要と同じように仏壇には白打敷を用い、花は赤色など華美なものを用いないようにします。規模も中陰法要と同様にするのがよいでしょう。
このとき、前述のように、中陰壇、白木の位牌はすでにとりはらってあります。 |
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Q8. 仏壇がさしあたり必要ですが、いつまでに求めるのですか? |
Answer.
お経のどこを探しても、仏壇の購入する期限など明記されているものはありません。しかし、よく"何もないときに仏壇を求めると死者がでるからよくない"といわれますが、み仏(阿弥陀如来)をお迎えして日々その尊いみ教えを味あわせていただくための仏壇を、その求める時期によって良い悪いなど、まったく馬鹿げた話だといえましょう。
ただ、身内に不幸があったとき、その後の仏事を営むうえで、やはり仏壇が必要になってくるということは否定できませんので、そのために求めるということや、お彼岸、お盆にあわせてのケースも多いようです。
結論としてはいつでもいいといえますが、なるべく早目に求めて、日々お仕えするのが一番いいのです。 |
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Q9. 浄土真宗用のお仏壇はあるのでしょうか? |
Answer.
浄土真宗専用のお仏壇はあります。
浄土真宗では、在家の仏壇はこのようにおかざりしなさいと、はっきり制定されていますから、それに適した仏壇を選ぶのがいいでしょう。そのためには、仏壇を求める際に、はっきりと、私の宗旨は浄土真宗本願寺派(西本願寺)と明らかにしておく必要があるのです。 |
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Q10. 位牌や過去帳はどのように扱いますか? |
Answer.
浄土真宗では位牌はもちいません。そのいわれは、位牌という礼拝の対象となるようなものを仏壇の中におさめておくと、位牌の中に死者の霊がこもっていると考え、み仏の国に往生を遂げられた亡き人に対するおつかえの仕方をあやまりがちだからです。ご本尊を礼拝するだけで、亡き人への思いはすべて満たされるのです。したがってご霊膳(陰げ膳)などもいたしません。亡き人に対して、この世の延長のようなおつかえはしないということで、先祖のことをかまわないということではありません。
真実の教えを聞き、本願を信じて念仏するものは、浄土に生まれて阿弥陀如来と同じ仏となるのですから、ご本尊を礼拝することがそのまま浄土に往生された故人や先祖に供養をすることになるからです。
また、過去帳とは、故人の法名をはじめ、俗名、死亡年月日などを記す、いわばその家のご先祖の記録帳です。これを浄土真宗以外で用いられる位牌と同じようなものとして、ご本尊がかくれえてしまうような形で最上段において、礼拝している例が見うけられます。これは、大きな間違いです。あくまでも、過去帳は故人の記録として残しておくものですから、普段はとじて仏壇の引き出しなどの中に入れて、命日にあたる日だけ仏壇の最下段に置くようにしましょう。 |
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Q11. お経にはどんなことが書いてあるのですか? |
Answer.
浄土真宗でお経という場合は「浄土三部経」をさします。仏説無量寿経・仏説観無量寿経・仏説阿弥陀経の、この三つのお経をあわせて浄土三部経と呼び、インドで成立し、中国で漢訳され、日本に伝えられました。そのため、ちょっと一般の人には理解しにくい漢文で書かれています。
どのようなことが書いてあるのかを、ざっと要約しますと、まず、法蔵菩薩が、いっさいの衆生を救わなければ、自分は仏にならないと誓われたとあるのが仏説無量寿経、そして、救われる我々のことが説かれているのが仏説観無量寿経、救われていく人と場所について説かれているのが仏説阿弥陀経だといえるでしょう。よく世間では、お経の功徳によって死者が浮いたり沈んだりするようにいわれがちですが、そうではありません。
お寺では、お彼岸、お盆をはじめ、講師を招いての定例の法座がひらかれます。そうした席では、これらのお経の味わいかたなどがやさしく説かれます。気軽におまいりすることができますから、機会あるごとに出かけたいものです。 |
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Q12. 仏壇をきれいにしたいのですが、どのように掃除すればいいのですか? |
Answer.
ご承知のように仏壇というものは、一種の工芸品でもあり、自動車の洗車のようにはいきません。とくに、代々にわたり永くお仕えしていくものですから、掃除の仕方のルールも知っておかねばなりません。
まず、内部の仏具をとり出し、そうして毛バタキで仏壇や仏具のホコリもおとします。次に、漆ぬりの部分ですが、ちょっとしたことで傷がつきますので、やわらかい布やシリコンクロスなどで、ていねいに汚れをおとします。金箔や金メッキの部分は、とくに塩分をきらうため直接手をふれないで、毛バタキで軽くはらうようにします。布でゴシゴシは禁物です。また、真ちゅうの仏具に関しては、専用の磨き油(真ちゅうみがき)などで汚れをきれいにみがくようにします。ざっと以上の要領ですが、ながらく掃除を怠っていると、素人では、なかなか思うようにいきませんので、いつも手入れをするように心がけたいものです。 |
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Q13. 焼香の作法を教えてください |
Answer.
沈香をつまんで、香炉の中に入れて薫じるのには違いないのですが、焼香の仕方については、宗派によって、多少の差がみられます。浄土真宗本願寺派(西本願寺)では、
@まず、焼香台の二、三歩手前でご本尊に向かって軽く一礼し
A進んで、右手で香盒の蓋をとって香盒のふちの右側に掛け(はじめから取り外されてある場合は不要)
B右手で香をつまみ一回だけゆっくりと火中に薫じる。このとき、香をつまむだけでなく、頭におしいただいたりする人が多いようですが、いただかずに、そのまま香炉へいれます。また、二度も三度も薫じる人がいますが、一回と定められています。
C香盒の蓋をもと通りに閉じる(あとに焼香者が続く場合には不要)
D合掌、お念仏、礼拝
E二、三歩さがって一礼し、退出。
なお、座って焼香する場合も、これに準じます。 |
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Q14. 永代経とはどんなことですか?
|
Answer.
"永代経" と呼びますと、どんなお経なのかと思いがちですが、永代経とは "お経"
のことではありません。
私たちは、肉親の死をいたみ、永く年回法要をつとめますが、つとめる側の人間も同様に、いつかはこの世を去らなくてはなりません。そうなるとあと誰が法要をつとめるかということが問題になったり、またながい年月が経過するなかで、故人のことを知る人もなくなり、やがてはすっかり忘れ去られてしまいます。
そのため、このようなことがないように祖徳をしのんで仏事荘厳を永代にわたってお願いするのですが、ことに大切な意味は、み教えをながく子供、孫、ひ孫にいたるまで立派に伝えていくということです。つまり、みんないっしょにみ仏のお徳をながく伝え、喜びを分かち合うということです。お寺では毎年永代経法要がつとめられていますので、お参りするようにしましょう。 |
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Q15. 永代経をあげるのはどうすればいいのですか? |
Answer.
実際には、お寺へいくらかのまとまったお金を「永代経志」と書いて包むようにしましょう。お金だけでなく、お寺で法要のために必要な仏具等を納める場合もあります。そのとき、「開闢法要」がお寺でつとめられます。つまり、そのお寺がながきにわたって、み仏のお徳を讃えますよ、という法要です。永代経をあげた人は、家族そろってお参りしましょう。 |
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